ドクダミは、日本列島の至る所の陰湿地に野生する多年草で、各地で多くの地方名があるが、一般にドクダミ、またはジュウヤクで知られ、台湾、中国、ヒマラヤ、ジャワにも至り、広く東南アジアに分布している。 中国名はシュウまたはシュウ菜で、昔浙江、洪蘇、安徽諸省に主産し、強い臭気があるので魚腥草とも呼ばれている。 薬用には地上部の全草を花期前に採集して用いるが、日本では長野県、四国地方に主産し、十薬または重薬と呼ばれている。十薬とは多種の薬効があるため、重薬とは家庭に備えて重宝な薬草〈ドクダミは毒をため、解毒の効がある〉の意と解される。 中国では古い本草の名医別録(500年)に、既に記載されている。 葉は互生する有柄の心臓形で、初夏、葉に対する花序を出し、花弁を欠き、項に大きい白色十字状の花弁のように見える総苞を平開し、中央に淡黄色微細な花を円柱状に密生する。 仏教哲学の抱石、久松真一博士は、この野草に、仏教にもキリスト教にも通じる聖なる草としての賛歌を献じられているので、短冊に墨跡をお願いしたことがある。 花は十字 葉は菩提樹と 一茎に奇しくもそなえる聖(ひじり)毒だみ |
ドクダミは、中国でも、広く民間で消炎、解熱、解毒、利尿の目的で単味で使われることが多く、尿道炎、淋病、痰の出るときに煎用(1日10〜15g)される。本草では薬味・薬性が辛微温で、悪瘡、脱肛、痔、痔瘻婁。腫物、膿血、腰痛、冷え性、便秘症、蓄膿症などに広く応用されている。 シュウ菜は漢方の処方に配合される例は少ないが、わが漢方医学の名医であった大塚敬節先生の治療録では、漢方処方に魚腥草の名で好んで加味された。 既存処方に、さらに消炎、利尿、排膿、去痰などの効果を補強する必要のある患者に応用された見事な配剤である。その応用目標は桔梗よりもさらに利尿作用が強く、痰、膿、血膿など、濃縮された水毒や血毒を解除するものと考えてよい。 白く横に這い地下茎は、中国でも日本でも食用にされたが、多食を禁じられている。ゆでて水に浸すと臭味が抜けるので、米飯の上に載せて、蒸して食用とした。 ドクダミを煎剤にすると特異な臭味あるので、煎薬を冷やして、胡瓜を輪切りににした薄片を数片浮かせると、臭味が消えてちょっと乙な飲料となるので、物資の少ない戦時中うに茶の代わりした経験がある。 乾葉は皮膚病、痔疾、腰痛などに浴剤として利用してもよいし、化膿性の皮膚病や蓄膿症にも有効で、蓄膿症は生葉を火であぶり、よくもんで、就寝時などに鼻孔に数時間挿入しておくと排膿に効果があり、虫にさされた時には、生葉を塩でよくもんで外用してもよい。 |
ドクダミの茎葉の成分はメチールノ2−ルケトン、ラウリンアルデヒド、カプリンアルデヒド、カプリニック酸、クエルセチン、無機成分などで、その得意な臭気成分は、デカノイルアセトアルデヒドは、強力な抗菌性と抗カビ性があり、ブドウ状球菌、淋菌、抗酸性菌にも有効で、スルファミンより強い1:40000で制菌力がある。 尿道炎や淋病、化膿性疾患に古来より応用されていたが、これが科学的に立証されたことになる。 ドクダミの利尿成分は、カリウム塩とフラボノイドのクエルセチン、イソクエルセチンで、ことにクエルセチンは強力な利尿作用があり、十万分の一モルの水溶液でも強い利尿作用が認められる。 また、この成分は止血、血圧降下作用のあるルチンと近似の化学構造であるから、欠陥補強作用も認められている。 |
