キハダ、コガネバナ、クチナシなどは近代医薬学上では苦味健胃薬として応用されているが、漢方ではいずれも薬味薬性が苦寒として分類され、これらは苦寒剤の中でも繁用される薬剤であるから、ゴン連剤とも呼ばれ、オウレン〈黄連〉はそれらの中でも主薬として賞用されている。 皮膚や粘膜の表在的炎症を中和し、新しい出血、充血、炎症を緩解する漢薬群の中でも品質のすぐれた優良品であり、中国、東南アジアに輸出されている。 |
中国産には、四川、湖北、陜西諸省の川連、四川省の雅連、雲南省の雲連があり、そのほかビルマ黄連やネパール、インド産の黄連もある。 日本産には丹波黄連(兵庫県産)、因州黄連(島根・鳥取県産)、越前黄連(福井県産)、加賀黄連(石川県産)、などが古来有名で、広島、岐阜、新潟、岩手の諸県からも野生品と栽培品が算出されている。 早春、白花の小花をつけるので山草としても珍重される。ウマノアシガタ科の常緑多年草で、キクバオウレンとセリバオウレン、コセリバオウレンの根茎を、細根を焼き去って乾燥する。 |
乾燥した根茎には、約七%のベルベリンとパルマチン、コブチシン、オーレニン、ヤチオルリチン、マグノフロリンを含む。 この苦味成分は、近代医薬学でも消炎性苦味健胃鎮静薬として応用されている。漢方では発熱や炎症、充血などの血症があって、心臓部の動悸が激しかったり、胸部や心臓部に熱感があって苦しかったり、心下部につかえがあって嘔吐、精神不安、不眠、出血などの症状があるものを緩解する。 黄連は前掲の黄柏(キハダ)、黄ゴン(コガネバナ)、梔子(クチナシ)と同類の薬性『苦寒』に属し、この四味を配合した名方には黄解散〈吉益南涯方〉があり、外傷、外出血、眼底出血、吐下、血便、血尿、鼻血、子宮出血、脳出血、高血圧症に広く繁用される。 配合薬にはそれぞれ特性があり、黄檗は大腸経、黄ゴンは肺経、梔子は肝経に主として働き、黄連は心経すなわち手の少陰心経の経絡上に異常を示すものに有効であることが、本草学上古くから知られていて、黄解散は単なる寄せ集めの名方ではないことを物語っている。 したがって、血しょうの少ない人や胃弱の人が長く連用すると、寒性が強すぎるので、かえって胃を傷める。そこで、木香、生姜、乾姜、呉朱萸などの辛温剤と配合して処方されていることが多い。 和剤局方の香連丸、朱丹渓方の左金丸がその例で、苦寒剤の組合せには三黄寫心湯、黄連湯、黄連阿膠湯、黄連解毒湯などの著名処方がある。 |
