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正月に、萩の知人からよもぎ餅が届けられた。若草の緑、ほのかな芳香、そしてかすかな苦味を備えたこの郷土食は、暖衣飽食の正月には、健康食の正道をいくものとありがたく賞味した。 ヨモギは漢名“”であるが、俗には“蓬”の字が用いられている。ヨモギ、モグサ、サシモグサ、モチモグサなどの和名がある。 ヨモギの名は、群出して萌えいずるという意からきている。モグサは、良く乾いた葉をもむと葉肉は粉になり、葉の裏の白い綿毛が残るが、それを集めて灸に用いることから、モエグサがモグサになったといわれ、サシモグサのサシは、灸をすえる意といわれている。またモチモグサの名は、若葉を米粉に混ぜて草餅とするためで、よもぎもちひの名は、『本朝食鑑』や『日本歳時記』などに記され、三月三日の節句に用いた。 中国では古くから“灸虎懸門(キュウコケンモン)”といい、五月五日にヨモギを採って虎の形をつくり、門の戸にかけて邪気を払う風習がある。 早春、若芽を摘んで草餅とするほか、茹でてよくアク出しをして浸し物や汁の実にしたり、飯に混ぜて菜飯として食べ、また、葉を煎じて塩味をつけ、ヨモギ茶として飲用する。 薬用としては、葉を乾かしたものを“艾葉(ガイヨウ)”と呼び、民間では生葉の汁を虫の刺傷や切傷につける。また、浴剤にしたり、煙草代わりに喘息煙草として喫煙する。 さらに、成熟した葉をつき砕き、葉身を綿毛と分離して、熟艾(モグサ)として灸に応用する。またこの綿毛は、印肉や矢立の墨壷などにも使われた。 |
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艾葉には、精油 0.02%を含み、その主成分はシネオールで、αツヨシ、βツヨシ、セスキテルペン、アデニン、コリン、アセチルコリンなどを含む。 艾葉は収斂性止血・鎮痛薬で、漢方では薬性苦微温の血剤として、キハダやオウレンなどの苦寒剤の血剤とは趣を異にしている。また、芳香があり揮発成分を含むので、充血や出血を止めるばかりでなく、新陳代謝機能を促して温める効能があり、冷えによる鼻出血、切傷、下痢、腹痛や下血、子宮出血、痔出血、妊娠中の下血に応用される。 用量は一日量5〜8g(煎用)。引く経は、脾経、腎経、肝経の陰経に異常を訴える症候群に応用される。 食用に有効な一般成分は、生葉100g中に、カロリー25、タンパク質 5.2g、脂質 0.8g、糖質 1.5g、繊維 3.0g、灰分 2.5g、無機質としてはカルシウム 70mg、リン 25mg、テチ 1.5mg、ビタミンA 2300IU、カロチン 7000IU、ビタミン B1 0.15mg、ビタミンB2 0.28mg、ニコチン酸 3.0mg、ビタミンC 70mgなどが含まれる。 なお、艾葉配合の貧血性痔出血、下血、子宮出血、下痢などに応用される有名処方には、後漢の『金基要略』の「キュ帰膠艾湯(キュウキキョウガイトウ)」、「柏葉湯(ハクヨウトウ)」などがある。 |
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日本各地に産するが、特に伊吹産、日光産が有名である。中国でも各地に産するが、安徽、山東の両省に多産し、河南省の祁州産はと呼ばれ、著名である。 採取法は、『大和本草(貝原益軒著)』の記述が現代薬学的にみても当を得た懇切なものであるから、抄録することにする。 「うるわしき苗、短き若葉をえらびもちゆべし。葉をつみて洗い一日目に干して、後数日かげ干しにして、器または袋に収めおくべし。 雨にあつべからず。また一所に多くつみ重ねてくさらしむべからず。また一日のほか日にほすべからず。かべに久しく掛けおくべからず。早くもみて袋、壷に入れくべし。年久しきを用ゆべし。三年を経て用ゆべし」 |