今月の話題
今月の話題 ウコン(鬱金、玉金)

薬用、染料、食品着色料に用いる… ウコン(鬱金、玉金)

・名称と産地

 ウコンは熱帯アジア原産のショウガ科の多年草で、中国では浙江、四川、広西に主産する。我が国では、琉球から九州の南部地方で多少栽培されている。享保年間に導入されたものといわれている。
 中国では、玉金または産地名を付して川玉金とも呼ばれ、唐の「新修本草」にみられる。日本でも、染料として平安中期には知られていた。同属に姜黄 (キョウオウ)、我述(ガジュツ)などがあるが、現在中国の市場品は鬱金(ウコン)と呼ばれるものは姜黄キョウオウで、姜黄(キョウオウ)と称するものがウコンであり、薬物名と植物名とが逆になっている。

・成分と薬効

 ウコンは原産地の熱帯アジアから中国、日本において、古来、食用色素と染織と薬用の三つの応用面で賞用されてきた。
 ウコンの塊根の断面は赤黄色で、黄色素クルクミンとその誘導体0.3%、精油約1〜5%、澱粉30〜40%、脂肪油などを含んでいる。
 薬用としては、薬性辛苦寒とされていて、心経、肝経、胆経と肺経に入るから、悪血を破り、結気を散らす両作用がある。
 そこで、利胆と芳香性健胃整腸薬として、肝臓炎、胆嚢炎、胆石症、カタル性黄疸などに応用し、また、止血通経薬として、吐血、(ハナヂ)、血尿、月経不順、月経痛や胸脇の痛み、腹痛などに内用する。1日に4〜5gを煎用する。
 江戸後期の名医・華岡青洲は、ウコンを主薬として外用の軟膏中黄膏を創製し(黄柏(オウハク)、黄連(オウレイ)を加えて、ゴマ油と黄ロウで軟膏とする)、打ち身、ねんざや急性化膿性の皮膚薬とした。
 漢方外用薬として速効があるので、今日でも賞用されている。
 ウコンの煎剤の子宮興奮作用は、マウスとモルモットで、5〜7時間収縮が持続するのが証明されている。また、利胆作用は、麻酔犬で胆汁排出増加がみられる。水浸出液は試験管内で、各種の皮膚真菌に抑制作用が認められ、漢薬の効果を科学的に実証している。
戦時中、日本でウコンの抽出成分にビタミンADを加えた強肝、解毒、視力増強剤が開発されて、軍用や軍用工場で用いられた。ドイツでもこれを応用するため、当時日本の占領下にあったジャワに潜水艦を派遣して、ウコン原料を引き取りに来たことがあった。

・染織用・食用としての応用

 ウコンのアルコール浸出液で染色したクルクマ試験紙は、化学実験で使用するアンモニア、硝酸塩の検出紙である。
 平安時代から、ウコンの絹または綿布の黄色染織は、他の黄染めの染料よりはるかにすぐれて鮮やかで美しいために、珍重された。ウコンの水浸出液は、酸性では美しい黄色、アルカリ性では赤がかった色に染まる。さらに、紅花の紅色素と交染することによって、緋色を発色させている。
 ウコン粉は一般食品の天然着色料としても広く使用され、この色素の特性である酸分の存在で、さらにさえた黄色を呈するので、沢庵漬には好んで使用されてきた。
 現在ではそれが人工着色料で代用され、ウコンの作用とは反対に肝臓に悪影響を及ぼしている。それでも、現在最も多量に広範囲にウコンが活用されているのは、カレー粉の主原料としてである。
 人の視覚はごまかせるが、味覚だけは、人工的な化学薬品では同調されないもののようである。
 「84年園芸新知識、7月号掲載」